高齢者の栄養について

高齢者と低栄養 ― 介護の入り口を遠ざけるために
高齢者は意外に「低栄養」の方が多いと言われています。低栄養は筋力や免疫力を低下させ、転倒・骨折、不動(ベッド上生活)、さらには認知症へとつながる悪循環を生み出します。
人生100年時代を元気に過ごすためには、この「低栄養の連鎖」を断ち切ることが大切です。
2025年の統計によれば、日本の65歳以上の高齢者は3607万人。そのうち5人に1人が介護認定を受けています。そして、認定を受ける直前の「予備軍」も確実に存在しています。
つまり「いかに介護の俎板にのらないか」が、私たちの大きな試練なのです。
「栄養」と「運動」で筋力アップ
ポイントは「栄養」と「運動」。筋力アップにはこの2つが大きく影響します。十分な栄養をとり、体を動かすことで、介護を必要としない期間をできるだけ延ばすことができます。
では、高齢者が低栄養になるリスク因子にはどんなものがあるでしょうか?
・日常生活で動かない(活動量が少ない) ・入院や病気の影響で体力が落ちた
・食べ物をうまく飲み込めない(嚥下機能の低下) ・認知症による食事量の減少
・独居や孤食による栄養の偏り
これらが重なると、栄養不足 → 筋力低下 → 動けない → さらに低栄養という悪循環に陥ります。
だからこそ「食べて動くこと」が介護予防の第一歩。
今から自分にできることを意識するだけで、未来の生活の質は大きく変わってきます。
【栄養】
バランスの良い食事はもちろんですが、筋力アップに注目すると、「タンパク質」の摂取です。高齢になると、若者より筋力をつけるためのタンパク質量が多く必要です。例えば、若年者が5gで筋タンパク合成があがるのに対して、高齢者は20gのタンパク質が必要です。一般的な目安ですが・・・。
• 1回の食事で20 g前後摂るのが理想(食事ごとに分けて摂る)
• 肉・魚・卵・大豆製品・乳製品をバランスよく。
• 噛む力や飲み込みに応じて、調理法を工夫する。
※タンパク質を制限されている方は、医師の指示通りに。
【運動】
栄養だけ摂っても体を動かさなければ、なかなか筋肉はつきません。無理のない範囲で「筋肉トレーニング」や「ストレッチ」を行いましょう。ただし、「運動をやりすぎない」「調子がすぐれないときは休む」「痛みを我慢して無理をしない」は守りましょう。
それでは、健康に老後を過ごしましょう!
次号:ゆるゆる日記番外編もお楽しみに